今回はシンガポール株第一弾ということでシンガポール最大の通信事業者、シンガポールテレコムを紹介したいと思います。略してシングテルと言うようです。通信事業者ということで、高配当株なのかなあと思うのですが、早速株価を確認してみましょう。シンガポール株も、配当金の二重課税がないので安心して投資できる外国株となります。
ここ10年以上はずっと3ドルから4ドルを行ったり来たり、という感じの株価推移ですね。配当利率は5.47%とかなり良いかんじです。ボーダフォンみたいに配当金カットといった事態にはならないかどうか、財務情報を確認していきたいと思います。
シンガポールテレコムの概要
シンガポールテレコムはアジア最大級の通信会社で、東南アジアを中心に事業運営をしています。シンガポールにおけるシェアは圧倒的で、固定電話の82%、計地電話の47%、ブロードバンドでは43%ものシェアがあるようです。シンガポールテレコム株の多くはテマセクホールディングスという、政府系投資ファンドによって保有されています。日の方親丸ならぬ、シンガポールの国家がバックについて巨大企業といえます。
シンガポール国外では、タイ、インド、フィリピン、オーストラリア、インドネシアで事業運営をしており顧客数は5億人にも上るようです。ボーダフォンの東南アジア版といったところでしょうか。
シンガポールテレコム 売上と利益
シンガポールテレコムの売上と利益を確認していきます。
ここ5年は売上利益ともにずっと安定しています。昨日のボーダフォンと違い、赤字になっていません。安定して事業を運営できているという事だと思います。
次にセグメント別の売上と利益率を確認します。
個人的には事業国別の売上を見たかったのですが、アニュアルレポートからは拾うことができませんでした。これを見ると、一般消費者向けの売上が少しずつ右肩下がりなのが気になるところです。価格競争による売上減なのかもしれませんが、今後もチェックする必要がありますね。企業向けはずっと横ばいです。「その他」というのは、デジタルマーケティングやオンラインビデオ配信など新規事業のことです。カリフォルニアのスタートアップ企業を買収してシンガポールテレコムの傘下で新規事業を展開しています。「その他」の売上がこの5年で4倍弱になっており、シンガポールテレコムの成長ドライバーといえます。
続いてセグメント別の税前利益率を確認します。
消費者向け、企業向けともに2017年までは利益率はそんなに変わらないですが、2018年3月から、急に消費者向け事業の利益率が増大しています。また、「その他」セグメントでは、まだまだ赤字が続いているという状況です。赤字ではあるものの、5年前と比べると赤字幅は減少しており、黒字化するときが来るかもしれません。
従来の通信事業で得た利益を元に、将来の成長ドライバーであるデジタルマーケティングやビデオ配信事業を育てていこう、という事業戦略を進めています。
シンガポールテレコム 配当金
配当金の支払状況を確認します。
一株あたり配当金はこの5年でずっと一定です。もはや債券のように鉄壁な配当を維持しています。配当性向は2019年は100%に近づいており、無理して配当してないかどうか気になるところではあります。
シンガポールテレコム キャッシュフロー
キャッシュフローを確認します。
前回のボーダフォンと同じく、営業キャッシュフローが膨大ですが、投資も膨大、というような形になっています。とはいえ、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引きして手元に残るキャッシュで、配当金は十分賄える水準ですので、今後急に減配するといった心配は無いように思います。
さて今回はシンガポール株第一弾として、シンガポールテレコムを紹介しました。配当利率が5%を超えており、財務もキャッシュも問題なし、今後成長する東南アジアを中心に事業運営をしており、大株主にはシンガポール政府が居る・・・ということで、安定投資先としては最適なんじゃないか!?と思います。通信事業ということで、IT企業のように大きく成長することは無いと思いますが、新規事業の売上は着実に伸びていますし、今後に期待できます。
ナショナルグリッド・ユニリーバからの配当金を使って、シンガポールテレコム株に少しずつ投資していくのもいいかなと感じました。配当の二重課税もありませんし。安定して配当金を受け取る、ということでは安心して投資できる株かなと思います。