今回はイギリスの高配当株であるBTグループの銘柄紹介をしたいと思います。物凄い高配当なので、投資したくなるのですが、減配の心配がないかな~~というのが最初の印象でした。ボーダフォンが減配してますし、通信株というのはどうも怖いような気もするんですよね~~。
とりあえず今の株価と配当利率を確認してみましょう
配当利率10%弱ってなかなか無いですよね。10年持てば元手が返ってきます。ただ、気になるのが株価がどんどん下がっていることです。3年前の2016年初から株価が3分の1以下に下がっています。通信株って安定しているイメージなのですが、なんでこんなに株価が下がっているんでしょうか・・。そのあたりを確認したいと思います。
BTグループの会社概要
BTグループはイギリスの通信会社で、固定回線を中心にビジネスをしています。イギリスだけでなく、世界100か国以上で事業展開をしているグローバル企業でもあります。分かりやすく言うと、イギリス版のNTT、といったところかと思いますね。歴史は非常に古く、19世紀にさかのぼるようです。イギリスの伝統的な通信会社、と言えるでしょう。
BTグループの売上&利益
売上と利益を確認していきます。
売上は2017年から横這いで、特に急減したわけではありません。税引き後利益もこの5年でほとんど横ばいで、安定的に利益を上げていると言えます。このあたりは特に問題がなさそうです。
BTグループの配当金
BTグループの配当金を確認してみます。
一株あたり配当金は2017年からずっと横ばいです。配当性向も70%前後を推移していますし、これだけ見ても、なんでこんなに株価が下がっているのかは良くわかりません。。なんででしょうかね。
BTグループのキャッシュフロー
ではキャッシュフローを確認していきます。
通信会社という安定したビジネスのおかげで、毎年莫大な営業キャッシュフローを上げています。これなら全く問題ないのですが、一方で投資キャッシュフローも莫大に出ていっています。
営業キャッシュフローから、投資キャッシュフローを引くと、2015年は700百万ポンドのプラス、2016年は±ゼロ、2017年は4500百万ポンドのプラス、2018年は100百万ポンドのプラス、2019年は450万ポンドのプラス、、というような感じになっています。毎年配当金で1500百万ポンドくらい支払っていますので、このままいくとおそらく減配しないとキャッシュが回らないという状況に陥るのではないかな・・・と思います。
さらに詳しく見ていきましょう。文字ばかりで恐縮ですがすこしお付き合いください。
「営業キャッシュフローから、事業運営に必要な「資本的支出」を引いたものを「配当金支払の原資」(上記表の①+②の数値)としました。これと「配当金支払額」を比べてみました。
すると2018年度から、「配当金支払の原資」と「配当金支払額」がトントンになっています。さらに2019年は営業キャッシュフローが落ち込んで「配当金支払の原資」が、「配当金支払額」の3分の1くらいに激減しています。このままでは、配当金を今の水準で継続するのは非常に困難といえるでしょう。配当金は今の2分の1か、最悪3分の1くらいに引き下げないとダメなような気がします。一方で、設備投資を2016年度レベルに抑えることができれば、配当金は賄うことが出来ます。しかしナショナルグリッドと違い政府により収入が保証されているわけでもないので、そう簡単に設備投資を下げられるかどうか・・というのがネックかなと思います。
これは別の話ですが、イギリスの野党である労働党党首は、BTグループやナショナルグリッドを国有化するというアイデアを発表しています。さすがにそんなことは実現しないと思いますが、BTグループもナショナルグリッドも株価が下がっていることから、マーケットでは国有化の実現を織り込んでいるのかも。。。。と思わなくもありませんが、、、どうなんでしょうか・・・。
ここまで財務数値を確認して分かったことは
・BTグループはこのままでは現状の配当金を維持できない。
・そのせいで多分株価が下がっている
ということです。配当利回り10%近くの高配当株ではありますが、ちょっと投資はやめたほうが良いかなと思いますね。(でもよく考えるとナショナルグリッドと似たようなキャッシュフロー構造なので、5000万円も投資してて大丈夫かなと心配になってきました・・。ナショナルグリッドへの投資額はすこし投資割合を減らしたほうが良いかもしれません・・・)
と思ったら、ADRから上場廃止されるというニュースが!!!せっかく分析したのに涙