今回はタイ最大の企業を紹介します。
タイではマレーシア程ではないものの、石油と天然ガスを生産をしているようです。この石油や天然ガスの生産をしている会社がタイ石油公社です。略してPTTともいうようです。石油公社という名前の通り、政府が68%もの株を保有しています。つまりは政府系企業ですね。マレーシアでも最大の企業は国営石油会社であるペトロナスですが、途上国はエネルギー系の国営会社が最大企業と言う場合が多いのかもしれません。
では早速タイ石油公社の株価を見てみましょう。
配当利率は4.5%くらいとかなり高いですね。タイの政策金利が1.75%だということを差し引いてもそこそこ高いと言えるかと思います。2011年からの株価ですが、20から60ドルの間をいったりきたりと言う感じです。底が2016年ですが、これはたぶん石油価格が下がったときかなと思います。石油価格と株価がある程度連動するという会社ですかね。そりゃ国営石油会社なので当たり前ではありますが・・・。
タイ石油公社の概要
2001年に上場したタイの国営石油会社です。さきほども記載しましたが、株式の68%は国がもっていて、残りの32%が流通しているという会社です。
PTTは傘下に様々なグループ会社があります。
一番大きな子会社はタイ石油開発公社(PTTEP)といって、石油とガスの生産を担う企業です。あとはPTTグローバルケミカル(PTTGC)という石油化学会社、そしてタイオイルという石油精製会社があります。PTTEP, PTTGC, タイオイルはそれぞれタイ証券取引所に上場しており、日本からも投資できます。
もしタイ石油公社への投資を検討する場合、本体にするか、子会社に投資するかは今後検討しないといけないですね。今回は本体のタイ石油公社の分析をしますが、そのうち上場子会社のタイ石油開発公社、PTTグローバルケミカル、タイオイルの3社についても分析して記事にしたいと思います。
タイ石油公社の売上と利益
売上と利益をみてみましょう。
売上は上下しています。おそらく、というかほぼ間違いなく石油価格と連動するような売上構成になっています。石油価格が上がれば売上&利益もアップし、石油価格が下がれば利益も下がるというのがおおまかな構造かなと思います。
利益率は低いときは1%程度、高い時には7%程度です。そんなに利益率が高いわけではないですね。
セグメント別売上を見ていきます。
セグメント別売上はそれぞれダブりがあるので全部足すと実際の売上合計以上の数値になってしまいますが、傾向をつかむという意味であまり気にしないようにします。売上が高いのは石油取引、石油化学(2014年から)、石油精製、天然ガス生産といったところです。
ではセグメント別の利益を見ていきましょう。
石油生産の利益率が非常に高いです。残念ながら売上に占める石油生産の割合は小さいので、会社全体のインパクトは少ないですが。石炭、天然ガス精製もそこそこ高いです。ぎゃくに低いのが石油取引です。そりゃ石油というコモディティを売ったり買ったりするだけの回転数ビジネスなので利益率は低いということでしょう。
利益率の高い美味しい事業はあるものの、会社に占める規模が小さいという少々残念なセグメントう構造になっていますね。
タイ石油公社の配当
配当の状況を確認してみましょう。
石油価格がさがった2014年くらいからは配当金を減らしていますが、おおむね安定しています。2016年からはさらに配当金増やしていますね。
タイ石油公社のキャッシュフロー
ではキャッシュフローを見てみましょう。
営業キャッシュフローは毎年黒字、そして莫大な投資キャッシュフローが出て言っているという状況です。そりゃ石油精製とか石油開発にはものそごく投資する必要があるでしょうから、当たり前かなと思います。典型的な装置産業のキャッシュフローですね。
ではいつものようにキャッシュフローの観点で配当金支払は大丈夫かを確認します。
営業キャッシュフローから資本的支出を引いたものを「配当金の原資」と定義し、実際の配当金支払額と比較しました。青のバーがオレンジのバーよりも高ければ問題ないです。グラフをみると、リーマンショックの2009年以外は、毎年青いバーが黄色いバーよりも高くなっており、十分余力をもった状態で配当金を出していることがわかります。
さすが天下の国営企業、タイ最大の企業ということで十分安定してビジネスを行っており、配当金も十分に余裕がある形で支払っていることがわかりました。
国営企業ということで非常に保守的に事業運営するでしょうから、爆発的な成長というのはないとおもいます。タイ国内に油田があれば別ですが、そんなサウジアラビアみたいなことにはならないでしょう。
配当利率が4.5%ちかくとかなり高いため、高配当株投資ということでタイ石油公社への投資はいいかもしれませんね。減配の過去はありますが、壊滅的に減配しているわけでもないですし、なんたってタイ国内の石油の流通をガッチリ抑えていそうですので、ここへの投資で大失敗することはないでしょう。投資先候補のひとつといえますかね。